前回は、衣裳を選ぶ際の判断基準を「踊り易さ」の面から、書いてみましたので、今日は、照明栄え(つまり舞台栄え)するのは?という視点から書いてみたいと思います。

 

 「舞台」と言っても、場面は色々ですね。

キャパが数十人単位のタブラオからスタジオライブの舞台、大ホールまで・・・、これらの環境で、どのような照明設備があって、誰がその操作(照明)を担当するのか?の2点は、衣裳を選ぶ際に考慮すべきとても大切なことです。

 

 私がいつもホールの仕事でお願いしている照明の方は、素晴らしい技術者で、彼の腕に掛かれば、どんな衣裳でも素敵に舞台栄えします。

蛍光灯の下で見て「これはちょっとどうかな・・・」と思うような地味な衣裳でも、本当に見違えるほど綺麗に見えます。

 

 でも、いつもスペシャリストを頼めるような舞台ばかりではありませんから、タブラオで、スタジオで、或いは野外ステージで・・と、色々な場面を想定して衣裳を用意しておかねばなりません。

 

 何人かの照明さんにお話を伺ったところ「照明のプランニングをしやすい衣裳の色は、赤、白、黒、ブルー系で、逆に難しいのは黄色、オレンジ」ということでした。

照明のプランニングとは・・、踊りの場面展開に合わせて、より効果的な演出を照明で創り上げていくことです。

 

 例えばAlegrías アレグリアスのような軽快で明るい曲も、途中、Silencio シレンシオあり、solo de pie ソロ・デ・ピエ あり・・と何回も場面(雰囲気)が変わります。

それぞれの場を活かした照明をプランニングして頂けるかどうかで、お客様に伝わる印象は全く違ったものになるのです。

 

 ですから私は、劇場で踊る時の衣裳の色に迷ったら、曲種にもよりますが、赤、白、黒、ブルー系を優先して選ぶようにしています。

 

 赤は、「色味」が朱赤でも真紅でも、照明が当たると殆ど違いがありません。

どんな赤でも照明栄えしますが、フラメンコでは一番好まれる色だけに、平凡な印象になることもあるようです。

 

 黒は、素材(生地)の違いが、照明が当たった時の「色味」の違いに繋がる色です。

ベロア調の生地は明かりを吸収して漆黒になりますし、同じ黒でも明かりを跳ね返すタイプの生地は、少しグレー掛かって見えるようですので、上下、別々に購入する時など、素材の違いには気をつけるようにしています。

 

 白は、多少、古くなった衣裳で、素明かりではパッとしないものでも、照明に当たると真っ白に見えます。

 

 ブルー系は、照明による色の変化が一番付きやすいので、場面展開の多い曲に適しています。

 

 これと正反対に、昼間の野外ステージ。

もう吹きさらしで照明効果ゼロ、というような仕事に持っていくのは、グリーン系、オレンジ系、ピンク系の明るくはっきりした色です。

黒とか、茶系のように、日本人が日常の着回しで多用する色というのは、その日常の延長線上にある舞台(駅前特設舞台とか、公園内の広場に作った舞台)では「衣装としての特殊性」が足りず、引き立ちません。

如何にも「フラメンコ衣裳らしい」華やかな色、非日常的な色の方が良いのです。

勿論、それは何を踊るか(曲)にも関係しますので、昼間の野外でSoleá ソレア、Tarantos タラント , Siguirilla シギリージャは踊らないことにしています。

 

 また、白はデリケートで、照明が当たらないと、微妙なくすみや汚れが目立つ色ですから、野外では避けるようにしています。

 

それから、色とは関係ありませんが、なるべく長袖を持っていきます。野外ステージは、意外と日焼けすることがあるからです。

形は、タイトで重めの衣裳にします。

野外は空気の流れのせいか、衣裳を捌く時の抵抗が大きいので、ヒラヒラしたデザインの衣裳は踊りにくいのです。

 

 スタジオやタブラオは、劇場と比べれば小規模ながらも、舞台と客席の光量の差は歴然と付いており、「フラメンコを見る」という環境が既に整っているので、比較的、何を着ても大丈夫だと思っています。

むしろ一緒に舞台に立つ人同士のバランスを考えます。

事前に「誰が何色を着るか」を打ち合わせておいて、お互いが引き立つ色柄を選ぶのがお客様に対する礼儀だと思います。

 

 柄物(花柄・水玉など)の場合、あまりにも細かくて繊細な柄は、お客様が近くで見て下されば良いのですが、大きな舞台では柄が混じって濁った色に見えてしまうことが有りますので、気を付けたいものです。

 

 やはり衣裳、生地を買う時にその客席からの距離分、実際に離れた目線で見ることが失敗しないポイントです。

 

 それから、フラメンコ衣裳を買う時は、ちょっと濃い目のお化粧をして行きましょう。

舞台化粧とまでは言いませんが、素顔に近い状態では本当に似合っているのかどうか、判断しにくいものです。

友人、踊り仲間と一緒に行くのも正解、大いに意見を参考にしましょう。

自分が「好き」な衣裳と、他人から見て「似合っている」衣裳は、ちょっと違ったりするものですから・・・。

 

 最後に余談ですが・・・。

数ヶ月前、ある衣装屋さんで素敵なバタ・デ・コーラ:尻尾の長い衣裳(白地に黒水玉)を見つけ、殆ど買う気になっていました。

X黒は合わせるMantón:マントンの色によって、色々な曲に使えるし、日頃から親しんでいる色なので、似合うだろう、という自信もあったのです。

 

 試着したところ、サイズはピッタリ!でも何かが変!ヘン、へん!何だろう~~、何かに似ている・・・。

 

・・・・ウシでした。・・・・牛・・・・。あ~~~踊るホルスタインみたいな・・・。買うの止めました。

 

 

大丈夫、フラメンコは逃げない・・・。

踊り易い衣裳選びのコツ

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