「子供クラスは有りますか?」「何歳位から、始められますか?」と問い合わせを頂く事があります。

 

 私が、幼稚園児だった娘を連れてスペインに行った時に、子供を教えている先生に尋ねたところ「最低でも5歳」という返事でした。

 

 その後、私自身も何人か子供を教えましたが、日本の子供はスペインと違って日常的にフラメンコに触れる機会、というのが少ない環境で育っていますので、その差も考慮すると、やはり小学校高学年位からの方が良いように感じます。

 

 フラメンコは身体より先に「頭で理解して覚えることが多い」ので、ある程度、「考える力」が確立しないと1曲の振り付けを覚えることが出来ないのです。

 

 勿論、大変個人差のあることですから一概には言えません。

もし子供本人が「フラメンコ大好き」「やりたい」と強く望んでいるなら、それはもう年齢に関係なく、少しでも早く習わせてあげるべきでしょう。

逆に、親がどんなにフラメンコを好きでも、本人の興味が今ひとつであれば、押し付けるべきではありません。

 

 『好きこそ物の上手なれ』と言いますが、フラメンコに一番大切なのは、まさにその「好きであるかどうか」です。

自宅でフラメンコの音楽を流して聞かせ、耳を傾けてくれるようなら、好きになってくれる可能性は「大」ですね。

ぜひ、間近に踊りを見る機会を作ってあげて欲しいと思います。

 

 

 

 随分と先の話ですが、10月20日(火)・21日(水)の2日間、Eva Yerbabuena:エバ・ジェルバブエナが来日するとのこと。企画:カンバセーション。

 

 もし、まだ1度もエバの踊りをご覧になったことが無ければ、ぜひこの機会に行かれるようお勧めします。

 

 抜群の技術と表現力を兼ね備えた素晴らしいbailaora:バイラオーラ(フラメンコの女性舞踊手)で、今の時代を代表する人だと思います。

 

 謳い文句に「フラメンコの女王」とある公演は、よく見かけます。

女王様が何人も居るところが、如何にもフラメンコ界らしい、と言いましょうか・・・「好き」であることが最優先なので、何人居ても良い訳です。

 

 今回のエバのチラシには「フラメンコのミューズ」とありました。彼女をどう呼ぶかは、ひとつの宣伝手段に過ぎず、そして、どんな宣伝文句でも足りないであろうほど、間違いなく彼女は「本物」なので、フラメンコに関わりつつ1度も見たことが無い、というのは大きな損失だと言えるでしょう。

 

 まだ半年以上先のことですが、ぜひ手帳の片隅にメモなさっておいて下さい。

 

 

 フラメンコの振り付けには、流行廃りがあり、時代と共により高度なテクニックが求められるようになってきました。

 

 最近の踊りは、足なら3連、4連が主流で、回転も2回転は当たり前、brazo:ブラソ(腕)の動きも自在で複雑です。

これはフラメンコという芸能が、常に時代と共にあり、他ジャンルと融合・発展し続けているからで、こうした傾向は今後も加速していくことでしょう。

 

 ある世代の踊り手さんたちは「最近の踊りはモダンダンスのようで、好きじゃない」と言います。

確かに「同じような印象」の踊りが多いことは否めません。

でも、それが「自分の一番踊りたいスタイル」ならば、それで良いだろうと私は思っています。

 

 「やりたいこと」「やれること」「やらねばならないこと」は違う、というのが私の持論なので、流行の振り付けを追い求めるのも、かと言って否定するのもナンセンスだと思うのです。

 

 フラメンコで一番大切なことは「オリジナリティ」です。

十人十色の性格と身体を持てば、踊り方、表現方法が違うのは当たり前、但し身体作りの基本は同じですから、「我流」と「個性」の違いは履き違えないようにしましょう。

 

 「やりたいこと」に挑戦する為に、「やれること」のレベルを上げる努力を怠らない、それが「やらねばならないこと」なのでしょう。

 golpe:ゴルペは靴の裏全部を使って一気にバンッ!と打ち込む足の技術です。

 

 ゴルペは、tacón :タコン(かかと)や planta:プランタ(つま先)のように、ある部分だけで打つことと比べたら、ただ足踏みするだけで良いので単純そのもの、一見、簡単そうなテクニックに見えますが、実は、「強くて当たりの良い音」が出せるようになるには、意外と時間が掛かります。

 

 コツは

1)膝がなるべく無駄に動かないよう、前に出ないように意識して、足をしっかり後ろに引き上げます。

2)如何に「強く打つか」ではなく、「早く、充分に引き上げるか」が大事です。

3)体重はしっかり軸足に乗せて、打つほうの「足の重さ」で「落とす」感覚を意識して下さい。

 力任せに打っていては、良い音にならず、早くも動きません。足も痛めます。

4)一番使う筋肉はハムストリングス(太腿の後ろ側)ですから、そこをしっかり意識しましょう。

 

 単純なゴルペの連続は、体力的に結構キツイ練習になります。

でも、他の全ての足の基本とも言える大切な技術なので、よくよく練習したいものです。

 

 それから足を引き上げる時に「まっすぐ上がっているかどうか」に注目して下さい。

膝の関節は多少の遊びがあるものの、本来は一方向にしか動かせない仕様になっています。

その「遊び分の動き」はなるべく減らした方が、膝への負担が軽くなります。

膝から下、特に足首から先の部分が内側に曲がらないよう、鏡で確認しましょう。

「鎌足(かまあし)」になる癖を付けてしまうと、見た目に美しくないだけでなく、次の動作が内股になりやすく、それを直すのに苦労しますから、初心者は特に注意して下さいね。

 

 時々、遠くへ引っ越していった人や、色々な事情で辞めざるをえなくなった人から、懐かしい便りを頂く事があります。

最近は、メールという便利な手段もあり、それはそれで返事も出しやすく有り難いですが、手書きの手紙はやはり格別で、特にこれといった理由も無く頂く便りほど、嬉しかったりするものです。 

 

 3月ライブ前の最も肉体的に辛かった頃、今は地方でフラメンコの先生をしている旧生徒から、手作りのハンドクリームと手紙が届いた時は、本当に嬉しくてずっと持ち歩いていました。

 

 入会したての頃は「果たしてこの子は続くのだろうか?」と心配した人で、よもやスペインへ長期留学しプロになるほど成長するとは思いませんでした。

初めから格別な才能を感じたわけでも、舞踊向きの身体に恵まれた人でもなく、しかし着実に努力するタイプで、とても味のある良い踊り手になりました。

 

 それ以来、新入会者の「舞踊経験」や「身体条件などの資質」には、余り先入観を持ち過ぎないようにしています。

 勿論、ひと目みて、「上手くなる」と確信できる人も居ます。

それはレッスンする前に、「立ち居振る舞い」や「言葉遣い」で判ってしまうことなので、その「勘」のようなものは私の場合、外れることがありません。

でも、その人が私の生徒として順調に育ってくれるかどうか、というのは又、別次元で未知数です。

 

 そして、先に書いた生徒のように、「大丈夫かなあ・・」と心配な人が、のちに驚くほど成長してくれることもあります。

順調な人の成長は勿論、頼もしく嬉しいですが、不器用な人の成長は殊更うれしいものです。

  

 最初はヨロヨロと立つことさえ覚束なかったような人が、ひとつずつ課題を乗り越えていく姿、真摯な様を見るに付け、「先生をしていて良かったなぁ」と幸せな気持ちになります。

 

 時間をかけて成長した人は、踊りだけでなく日頃の顔つきまで輝いてくるようで、そうした例を幾つも見るに付け、誰でも“磨けば光る原石”のようなものだと感じるようになりました。

 

 

 重要なテクニックのひとつ、Vuelta:ブエルタ 回転。

バレエのように、くるくると何回転もしなくて良いのですが、キリッと切れ良く廻り、バシッと力強く止まることが大切で、舞踊経験の無い初心者にとっては、一番の難関と言って良いでしょう。

 

 上手く廻れない一番の原因は勿論「まっすぐ立つ筋力」が弱いこと・・・。これは全てに通じることです。

次に、首の力が弱いこと。これは以前にも書きました。

もうひとつ、ぜひやってみて頂きたい練習は、体幹を鍛えることプラス左右のバランスを調整することです。

足の練習をする時など「右なら出来る事が左は苦手」という経験は誰にでもあるでしょう。(右利きの場合)

 

 身体は左右の力や大きさが微妙に違っているのが普通です。

この差が大きければ大きいほど当然「バランス」は悪くなります。

ですから、足の練習などをする時も、左は右の倍くらいやるつもりで取り組み、今まで以上に左側を意識して下さい。

 

 柔軟をする時も、左右、同じように済ませず、特に固い側を念入りに伸ばしましょう。筋トレも同様です。

 

 私は元来、極端な右利きなので、練習の時は必ず左の回数を増やすようにしています。

 

 初めのうちは、得意な方(右)でコツを掴み、出来たと思ったら左でも同様のことが出来るようになるまで繰り返します。

やはり左の方が時間が掛かりますが、バランスよく鍛えるということは、故障を防ぐ為にも大切なのです。

 

 フラメンコを始めた当時は、1回転はおろか、半回転、振り向くだけでフラついていたものです。

回転はずっと苦手でしたが、足も弱く、身体も固くては取り得無しで情けないので、とにかく廻れるようになりたいと思って、もの凄く考えながら練習しました。

 

 回転の練習はむやみやたらにやっても駄目で「何故、一方に流れるのか」「何故止まれないのか」「足りないのはどこの筋力か」などをちゃんと考えて取り組むことが必要です。

自分で判らない時は、誰かに客観的に見てもらったり、ビデオに撮って分析するのも良いでしょう。

 

 稽古場の鏡に向って上手く廻れても、舞台上で成功するとは限りません。

舞台は照明が眩しかったり、天井の高さなどから平衡感覚が狂ったりと、視点を定めることが難しい環境です。

床のコンディションもいつもとは違うので、そういったマイナス面も想定して、かなり自信がつくまで練習しておきたいものです。

鏡に向ってまずまず廻れるようになったら、必ず、壁側にも向ってやりましょう。

 

 大丈夫、根気を持って取り組めば、いつかきっと出来る日は来ます!

 

 発表会などの本番を控えた前夜に、不安や緊張で神経が昂ぶってしまい眠れなくなった経験は、どなたにでもあると思います。

また、間際になって衣裳直しをしたり、慣れない支度で手間取ったりと、前日は何かと気ぜわしいもの。

「しっかり寝ておかなきゃ!」と思い詰めると、益々目が冴えてしまうものです。

そうして睡眠不足のまま当日を迎えるのは、辛いものですね。

 

 でもここで「ああ、大事な日なのに睡眠不足で不調だわ」と思い込むのは早計です。

人間の身体というのは、かなりの逆境に耐えられるよう出来ているので「1日位の徹夜はどうってことない」と、開き直って大丈夫なのです。

本番は、身体に備わった興奮物質が分泌されますから「寝不足ハイ」とでもいうのでしょうか、私などは、むしろ前日は眠りすぎない方が調子が良かったりします。

 

 大事なのは、その前日に至るまでの数日間の睡眠です。

残業で何日も睡眠不足が続いた挙句の本番というのは、やはり集中力を維持することが出来なくなってしまうでしょう。

 

 ですから「本番2日前の睡眠」をしっかり取れるように、調整したいものです。

私はメンタルクリニック処方の睡眠導入剤を飲んででも、2日前の睡眠だけは十分に取る努力をしています。

 

 日本では一般に精神科の敷居を高く感じている人が多いようですが、私は年に1~2回程度、気軽に利用します。

 

 初めて利用したのは、船の仕事でオーストラリアに行った時です。

私は大変ガサツな性格ですが、唯一「寝る時の環境」と「音」に敏感でして、いわゆる「枕が替わると眠れない」というタイプなのです。

旅先のホテル、団体旅行の大部屋、寝台車などで熟睡できた例はありません。

オーストラリアの仕事は船旅が1週間位含まれていたので、さすがに眠れないと身がもたないと思い、事前に2週間分の睡眠導入剤を持参したのでした。

 

 初診時の医師との会話は傑作でした。

医師:開口一番「あなたは大変健康そうですが、今日はどうなさいました?」

川崎:「私は人並み以上に健康です。但し、枕が替わると眠れない性質でして、長期の旅行に行くので睡眠導入剤を処方して下さい」

医師:「旅はどちらへ」

川崎:「オーストラリアへ船旅です」

医師:「おお、昔ケアンズに行ったことがあります」

川崎:「船はケアンズに入港します」・・・以下、オーストラリアの話題で盛り上がり、雑談をして診察?終了。

 

 日頃、殆どお酒も薬も飲まない私ですから、この薬は大層良く効き、旅は好調でした。

 

 それ以来、1回の診察で4週間分ほど処方してもらい、日常生活で睡眠時間の調整が必須な時だけ飲むようにしています。

4週間分で半年も1年も事足りてしまうものですから、習慣になる心配は皆無です。

依存の心配さえなければ、非常に便利な道具のひとつなので、上手に利用すると良いと思います。

 

 精神科の敷居は跨いでみると、歯科相応の低さだと私は思っています。

勿論、平常のコンディションが維持できて薬など無用なら、それに越した事はないのですが・・・。

 

「本番2日前の睡眠時間確保」ぜひ意識してみて下さい。

  初級~中級レベルのスペイン語学習者にお勧めのシリーズに『LEER Y APRENDER』というCD付きの物語があり、これはイラストや写真が豊富で綺麗です。

 

 会話が録音された教材なら、一般書店でも手に入れやすいのですが、物語が音読されているものは、専門店に行かないと買えないようなので、やはりAmazonが便利だと思います。

 

  値段も、以前都内の書店で見たところ、どれも2000円前後でしたが、今日、Amazonで検索してみたら1300円前後になっていました。

 

 「洋書」のカテゴリーで「LEER Y APRENDER」と検索すると幾つか出てきますので、興味のある方は読んで(聞いて)下さいね。

 

また、次のサイトで出版元のカタログを見ることが出来ます。

http://www.blackcat-cideb.com/main02/PDF/Espanol_COL.pdf

 

 

 

 

 

 「習い事は1人で始める方が、マイペースで長続きする」

これは、私が永年の経験で実感していることです。

 

 家族・友人を誘ってフラメンコを始める方も少なくないのですが、殆どの場合、どちらかが辞めてしまわれます。

これは、もともとのバランスの取れていた人間関係に、フラメンコを通して新たな優劣の差が出来てしまうためではないでしょうか。

 

 人の身体能力やフラメンコへの適正は実に様々で、飲み込みの早い人、時間の掛かる人、又、覚えは速くてもすぐ忘れてしまう人、時間が掛かっても着実に身に付けられる人など、10人10色ですから、新規のクラスで、全員同じスタートラインでレッスンを始めても、日が経つと共に、この差は徐々に、確実に、開いていくのが普通です。

 

 稽古場で出会った新たな人間関係の場合「あぁ、上手な人がいるなぁ」で済むのですが、それがプライベートな人間関係にも、何がしかの影響を及ぼしてしまうと、ちょっと問題があるようです。

 

 ほぼ同じ進度で習っている友人同士の例も稀にはありますが、これは本当に「稀」です。

「他人と比較しない」というのが原則ながら、やはり比べてしまうのが人情というもの・・・、ぜひ「ご近所お誘い合わせ」にならず、習い事は始められる方が良いでしょう。