ギター伴奏の独奏部分をfalseta:ファルセータと言います。

 

 代表的なのは、“Alegrías”:アレグリアス で弾いてもらう silencio:シレンシオ の部分などです。

 

 予めギタリストにファルセータをリクエストしておいて、それに合わせて振付けると、とても気持ち良く踊れるので、時間が許す限り、そうやって構成を考えるようにしています。

ファルセータは4コンパスから8コンパス位を1単位に捉えることが多く、長めでも1分位に納めて弾いてもらうと、振りが纏まりやすいようです。

ファルセータを活かすことによって、表現の幅が膨らみ、見せ場を作ることが出来ます。

 

 私にとってファルセータを聴きながら、振りを作っていくのは、何より楽しい練習です。

時間に余裕が有る時より、タイムリミットが掛かっている時の方が集中して仕上げられます。

 

 唄も、ファルセータも「覚えてしまうまで」聴きますが、何回聴いても飽きません。

覚えたファルセータは後々まで忘れないのに、時間を掛けて考えた振り付けは毎回、踊り終わると綺麗サッパリ忘れてしまうのです。はぁ~・・・。

 

 そんな訳で、今日も又、新たなファルセータ振りを練り直している川崎でした。

 

 本番まで後、6日!!

 

 スペイン語で“反対”を意味するcontra:コントラは、フラメンコ用語では専ら、正テンポに対する“裏打ち”を指して使われます。

 

 踊りも唄も伴奏も、コントラを掴まないことには手も足も出ないのがフラメンコと言って良いでしょう。

それほど重要なリズムの取り方なのです。

 

 いつも同じ切り口のアドバイスで申し訳ないのですが、やはりcontra:コントラを手に入れる為の有益な練習は「palma:パルマ(手拍子)を叩くこと」に尽きます。

手で出来ないことは足では出来ません。

palmas:パルマで叩ける速さの2割減ほどが、足で打てる速さです。

 

 ところが、palmas:パルマは結構叩けているのに、足になるとガクンと落ちてしまう人、又、不安定になってしまう人が居ます。

心当たりがある方は「呼吸」の仕方を振り返ってみて下さい。

苦手意識や緊張感から「息を止めて」いませんか?

 

 パルマでも足でもコントラを打っている時の呼吸は「自然に、むしろ深呼吸するような感じ」を意識して下さい。

又、そうできる位の速度まで落として、練習する事が上達への道です。

 

 40でも60でも、納得できる速さから徐々に1目盛りずつ上げてゆくこと。

急がば廻れで取り組んで下さい。

 

 エスコビージャの中でコントラを打つ場合、コントラは「打数」としては1拍に1回と仕事量が断然少ないので、ある程度踊れる人は「ひと息つく場所」もしくは「追い上げの手段」として使っています。

 

 コントラでリズムを持ち上げたり、まっすぐ維持する事はあっても、落ちる事は決してありません。

ところがコントラに弱い人は、長く続けるほどに乱れたり、落ちたりしてきます。

群舞ではバラバラになりやすい“難所”と言っていいでしょう。

 

 落ち着いて伴奏者のpalmas:パルマを良く聞くこと、そして決して「息を止めないこと」が大切です。

 

 いつも書くことですが「1日、ひと目盛り増し」で1年取り組めば、パルマは必ずプロレベルまで達することが出来ます。

メトロノーム相手の技術を手に入れた先に「揺れ」を掴む感性が求められるようになる訳で、こちらの方が、果てしなく続く道のりですから、どうか、地道に取り組んでみて下さい。

きっと、きっと気持ちよく打てる日が来ます!

 

今日のポイントは「呼吸」でした。

 

 

 

 「コンパス/コンパス感」について、続きを書きます。

 

 Compás は、スペイン語の辞書によれば、「コンパス(文具の)」や「羅針盤」「拍子/リズム」などの意味がありますが、フラメンコ用語としては専ら、あるリズムのサイクルを表す単位として使われています。

 

 例えば12拍子系の曲なら12拍が、8拍子系なら8拍が「un compás 1コンパス」、その半分は「メディオ コンパス medio compás」です。

これを間違って13拍でとってしまったりすると「フエラ デ コンパス fuera de compás 」:コンパスを外したことになります。

 

 さて、12拍子系、8拍子系と書きましたが、これはフラメンコのリズムの特徴を一元的に表現する事が難しい故の便宜上の書き方だと思って下さい。

12拍子系の曲は、ある部分は2拍子、3拍子、6拍子・・とも聞こえるでしょう。これらが絡み合った複合リズムなのです。

 

 常に変化しながらアドリブだらけで進行してゆくフラメンコは、楽譜に育まれてきた音楽ではありません。

譜面もないのに、申し合わせたようにパルマ・唄(カンテ)・踊り(バイレ)が、全員、同時に止まったり、再開したり、自在に展開していけるのは、皆が同じ「コンパス感」を共有しているからです。

「外さない」という前提があるので、一緒に創り上げてゆくことが出来ます。

 

 こうして文章に書いて説明するのは大変難しいのですが・・・。

コンパスを「掴む」為の手段の1つを書いてみましょう。

 

 時計を思い浮かべて下さい。

12が頂点で、ぐるりと1周すれば12時間。

12時、3時、6時、8時、10時に印を付け、そこを仮に「強」としてみましょう。

他を「弱」として、これらを12拍で数えると「強・弱・弱・強・弱・弱・強・弱・強・弱・強・弱」となります。

 

漢字は見づらいので、数字を丸で囲みます。

⑫・1・2・③・4・5・⑥・7・⑧・9・⑩・11 これで1コンパス。

11は⑫に続きますから、これがぐるぐる・・。

 

 ブレリアス(bluerías)という形式では、ギターを最もベーシックなスタイルで弾いてもらうと、③のコード変化 ⑩の解決(戻り)は、比較的聞き取りやすい拍です。

 

 他にも⑫・1・2・③・4・5・6・⑦・⑧・9・⑩・11 のパターンは基本として良く知られています。

2連、3連、4連、2拍3連など、慣れない内は、聞き分けられないものですが、とにかく「あ・・これは好きかも・・」というお気に入りの1曲をぜひ見つけて下さい。

 

 そして、その好きな曲の形式(ブレリアスとかアレグリアスとか)をチェックして、他のCDで同じ形式の曲を見つけ、聞き比べて下さい。

その形式が持つ独特の「コンパス感」が、きっと肌で感じられるようになると思います。

きっと「耳にタコ」が出来る位聞かなくては・・なのですが・・・。

 

 ぜひお気に入りの「アルティスタ artista:芸術家、歌手などの意味がありますが、ここではフラメンコアーティストのこと」を見つけて下さいね。

私の好きな「カンタオーラ cantaora :フラメンコ歌手」で、最初に思い浮かぶのは「マイテ マルティン Maite Mrtín 」です。